最近、Difyを使って観光業向けのAIチャットボットのデモを作る機会があった。
北海道でアクティビティやスキー用品レンタル、貸切バスなどを手がける会社向けのものである。
実際に見てもらうと反応は良かった。
「こんなことができるんですね」 「問い合わせ対応が楽になりそうですね」
そんな感想をいただいた。
ただ、その一方で少し気になったこともある。
AIの話をすると、
「AIなら簡単に作れるんでしょう?」 「最近はノーコードだからすぐできるんでしょう?」
と思われることがある。
確かに昔に比べると、AIアプリを作るハードルは大きく下がった。
Difyのようなツールを使えば、チャットボットそのものを作るだけなら数時間で形になることもある。
しかし、実際に価値があるAIを作ろうとすると、話は少し違ってくる。
課題1:API利用料
AIには利用料がかかる。
利用するAIの性能や、問い合わせ回数によって費用は変動する。
テスト段階では気にならなくても、本格運用になると無視できない。
特に利用者が増えるほど、費用管理は重要になる。
課題2:ナレッジ作り
実はここが一番重要である。
プログラムを書くことよりも、こちらの方が時間もコストもかかる。
例えば観光会社であれば、
- どんなツアーがあるのか
- 集合場所はどこか
- 雨の日はどうなるのか
- 英語対応は可能か
- 貸切バスは何人まで対応できるのか
こうした情報を整理しなければならない。
AIは魔法ではない。
正しい情報を与えなければ、正しい回答は返ってこない。
むしろAI時代になったことで、企業が持っている知識やノウハウを整理する重要性は以前より高くなったように感じる。
課題3:どう知ってもらうか
AIアプリを作っただけでは利用されない。
既にアクセスのあるホームページなら、チャットボットを設置するだけでも効果は期待できる。
しかし、そもそも訪問者が少ない場合は話が別だ。
SNS運用や広告、場合によっては海外向けマーケティングなども必要になる。
結局のところ、AIも集客の仕組みの中で活用されて初めて価値を発揮する。
AIは作って終わりではない
最近は「10分で作れるAI」「誰でも作れるAI」という情報をよく見かける。
それ自体は間違いではない。
実際、作るだけなら昔より圧倒的に簡単になった。
しかし、企業で使えるレベルに仕上げるためには、
- 業務の理解
- ナレッジの整理
- 導線の設計
- 運用ルールの整備
といった地道な作業が必要になる。
簡単に作れることと、簡単に成果が出ることは別である。
私自身、30年以上Web制作やシステム導入に携わってきたが、技術そのものより「何を整理するか」が重要なのは昔も今も変わらない。
AI時代になっても、その本質は変わらないように思う。
簡単に見えるところまで整えること。
それが、これからのAI導入支援で求められる仕事なのかもしれない。

