仕事をしていると、「前にも同じ話をしたのにな」と思うことがある。
この日、ある方から電話があり、ある地域向けに進めている仕組みを、プロモーション用にも作る話になった。
実は以前にも、こちらから似たような提案をしたことがある。
その時は必要ないという話になり、そのまま終わっていた。
ところが今回、いろいろな取り組みが進んできたことで、ようやく話がつながったようだった。
こちらからすると、以前から完成形はある程度イメージできていた。
「こういう形にしておけば、こんな展開もできますよ」
そんなことが見えているから提案する。
しかし、今回改めて分かった。
こちらに最終形が見えていても、相手が同じタイミングでそれをイメージできるとは限らない。
以前の自分だったら、
「それ、この前に話していたやつじゃないですか」
「その時はいらないと言ってましたよ」
くらいは言っていたかもしれない。
今回は言わなかった。
さも初めて出てきた話のように、そのまま会話を進めた。
別に、以前の自分の提案が正しかったことを証明する必要はない。
相手にとって必要になったのが「今」なのであれば、今から一緒に考えればいい。
まずは1枚ものだった仕組みをメール版に変更して送り、そこから考えていくことにした。
仕事では、こちらが先に見えてしまうことがある。
Web制作やシステム開発を長くやっていると、「こうなれば、次はこうなるだろう」というところまで想像してしまう。
でも、それを全部説明したからといって伝わるわけではない。
実際に何かを使ったり、現場で困りごとが出たり、別の仕組みが動き始めたりして、初めて「あの話はこういうことだったのか」とつながることもある。
だから、提案した時に伝わらなかったからといって、必ずしも提案そのものが間違っているわけではない。
逆に、こちらが正しいからといって、その場で押し切ればいいわけでもない。
相手にもタイミングがある。
この日は、そのことを重々感じた。
夜には、今取り組んでいるMVPについて考えながら、一つの言葉が浮かんだ。
「AI時代に取り残されない会社の土台を作るサービスです」
AIそのものは、半年後にはまた変わっているかもしれない。
しかし、会社の中で積み重ねてきた話、メール、お客様とのやり取りといったデータは残る。
AIを売るのではなく、将来どんなAIが登場しても活用できる会社の土台を作る。
これも、こちらから説明するだけでは伝わらないかもしれない。
実際に使いながら、「こういうことだったのか」と感じてもらえるタイミングが来ればいい。
提案する側と受け取る側では、見えている景色もタイミングも違う。
急がず、必要になった時に一緒に前へ進めばいいのである。

