最近、AI業界で「Perplexity(パープレシティ)」の収益分配モデルがちょっと話題になっている。
2024年の夏から「Publishers’ Program」という仕組みが始まり、2025年には「Comet Plus」という新制度も登場。
簡単に言えば、AI検索が記事を読んで答えを作ったら、そのコンテンツ元のメディアにちゃんとお金が還元されるようになった、という話だ。
分配率は80%、でも本当に公正なのか?
面白いのは、その分配率の高さ。Comet Plusだとサブスク課金の80%がパブリッシャー(メディア)側に、Perplexityは20%だけ取る仕組みらしい。
初期プールには4,250万ドル(約60億円)が用意されていて、LA TimesやTIME、Der Spiegelなど、世界中の有名メディアが既に提携している。
一見すると太っ腹に見える。でも、ちょっと待ってほしい。
月5ドルのサブスクの80%って、つまり4ドル。普通の新聞購読料って月20〜30ドルくらい?
つまり、AIがメディアの記事を全部まとめて答えてくれる代わりに、メディアは月4ドルしかもらえない計算になる。
しかもそれを複数のメディアで分け合う形。
これ、本当に公正なのか? 正直モヤモヤする。
記者が蚊帳の外だった問題
もっと気になるのは、現場の記者たちが事前に何も知らされていなかったケースがあること。
LA Timesの記者の中には、「プレスリリースで初めて知った」って人もいたらしい。
Adweekでも同じような声が上がっている。経営陣が勝手に決めて、現場は後から知るって、ジャーナリズムの独立性的にどうなんだ、と。
一方で、New York TimesやWall Street Journalはこの仕組みに反対して訴訟モード。
LA TimesやFortuneは提携を選んでいて、メディアによって対応が真っ二つに割れているのも興味深い。
なぜこの仕組みが必要だったのか
AI検索が便利になればなるほど、元サイトへのアクセスは減る。結果、質の高い記事を書くインセンティブが失われていく。
このままだと、AIが学習する「良質なデータ」自体が枯渇していくんじゃないかと、ずっと思っていた。
Perplexityの今回の動きは、その悪循環を断ち切る試みだと思う。
でも、”何でもAIがまとめてくれる時代”に、オリジナルな情報の価値が本当に維持できるのか。
分配率が高く見えても、総額で見たらメディアは儲かるのか。
ブログ書いてる側としても他人事じゃない
AIと情報元メディアの共存、これが今後うまく回るのか、ブログ運営者としても気になるところ。
自分もこうして記事を書きつつ、いつどこでAIに引用されるか分からない時代。
「情報ってそもそも誰のもの?」「AIに学習されることの対価ってどう考えるべき?」と、あらためて考えるきっかけになった。
Perplexityのこの動き、完璧じゃないかもしれないけど、少なくとも「何もしない」よりはマシだと思う。
今後、他のAI企業がどう動くのか、そしてメディア側がどう反応するのか。引き続き注目していきたい。

