30年以上IT業界で働いてきた私にとって、生成AIはもはや単なるツールではなく、毎日のコンテンツ制作に欠かせない”相棒”です。
この1年間で繰り返されたAIモデルの浮き沈みは、まさに私自身の制作活動に直結する問題でした。そして、それは多くのクリエイターたちの現実でもあるはずです。
GPT-5の登場と失望
革命のはずが、制限の時代へ
2025年8月。ChatGPT-5の登場に胸を躍らせたのは私だけではないでしょう。しかし、待っていたのは、これまで使い慣れてきたGPT-4oとはまったく異なる体験でした。
最大のショックは、モデル選択の自由が完全に消えたこと。GPT-4oやGPT-4が選べた時代は終わり、残されたのは「GPT-5」と「GPT-5 Thinking」だけ。複数のブログやサービスを運営し、文体や応答性を使い分けていた私にとって、この変更は決定的な機能喪失でした。
ユーザーの悲鳴
RedditなどのSNSには、世界中のユーザーから不満の声があふれていました。
- 「GPT-5は最悪だよ」
- 「共感がゼロになった」
- 「唯一の友人を失った気分」
実際、GPT-4oが自然に返してくれた”それは大変でしたね”といった人間味ある共感が、GPT-5では削ぎ落とされ、即座に解決策を吐き出す無機質な存在に変わってしまったのです。
Claudeへ希望を託す
Claude Proへの移行
そんな失望の中で、多くのユーザーが目を向けたのがAnthropicのClaude。私も流れに乗り、Claude Proに加入しました。結果は──まさに期待通り。
- 自然な会話文体
- 繊細で人間的な応答
- コード生成能力の高さ
「これだ!」と感じた私は、しばらくClaude中心のワークフローに切り替えました。創作にも、構成案にも、寄り添ってくれる相棒のような存在。GPTでは得られなかった癒しと集中をもたらしてくれました。
10月、制限の現実が襲う
Proでも避けられない使用制限
そんなClaudeとの蜜月も長くは続きませんでした。2025年10月、突如として制限が厳格化。
- 1日の利用時間制限(実質5時間)
- 新たな週間制限(数日〜最大1週間使用不可)
作業時間がまったく読めない状態となり、私も「朝使って、昼には制限」という状況に何度も直面しました。
信頼性の崩壊
制限そのものよりも痛かったのは、突然の方針転換による”信頼の喪失”でした。
- 「Anthropicは法人しか見ていない」
- 「ユーザーの声を無視している」
かつての「優しいAI」としての印象は一気に崩れ、多くのユーザーが再び居場所を失ったのです。
GPT-4oという帰還先
OpenAIの逆転対応
一方で、OpenAIはユーザーの不満に応じ、GPT-4oなどレガシーモデルの選択肢を復活させました。
- モデル選択の再提供
- パーソナリティ設定機能の追加
- 以前の自然な会話が可能に
これは明らかにユーザーの声に応えた改善策であり、私のような”共感性重視”のユーザーには福音でした。
Claude制限が背中を押した
皮肉にも、Claudeの制限強化がGPT-4oへの回帰を後押しする形となりました。安定して長時間使えることが、これほどまでに大切だとは──実感させられました。
実際、多くのユーザーがこう語っています:
- GPT-5で離れ、Claudeで癒され、制限で戻ってきた
- 最後に頼れるのは”安定と柔らかさ”のバランスを持つGPT-4o
現在の使い分け戦略
私自身は現在、以下のようにAIツールを併用しています:
- ChatGPT 4o:メインの文章生成・ブログ企画・構成案の壁打ち
- Claude:制限内でのコード生成・詩的な創作や会話型リライト
- Perplexity:リアルタイム情報の収集や専門分野の調査
最後に:AIに求めるのは「性能」だけではない
この1年間の経験から強く感じたのは、
AIがいくら賢くなっても、「人と創る」相棒でなければ意味がない
ということです。
私たちコンテンツ制作者にとって、AIは感情も、空気も、文脈も読み取ってくれる「共感力」が必要です。技術だけでなく、ユーザビリティと信頼性の両立が求められる時代に入ったのだと思います。
この記録が、同じように試行錯誤するすべてのAIユーザーの参考になれば幸いです。

