明治十三年、静岡の士族たちが帯広へ渡り、「晩成社」という共同体をつくった。
目的は、開拓を通じて理想の社会を築くこと。だが彼らを待っていたのは、想像を超える寒さと孤立だった。
燃料も食料も乏しい中で、人々は理想よりもまず「明日をどう生き延びるか」を考えるしかなかった。それでも彼らは諦めなかった。
理念を掲げ続けたのは、信念のためだけではない。「自分たちが信じた言葉が、仲間をつなぐ最後の火種になる」と知っていたからだ。
理想とは、飾りではなく凍える現場で機能するかどうかが試されるものだった。
※「当時の冬の暮らしぶりの詳細は「晩成社と帯広開拓の真実|静岡から来た理想主義者たちの冬の暮らし」で読めます。
目次
理想の組織論とは何か
晩成社は経済的には失敗に終わったが、彼らの「共同体をどう保つか」という試行錯誤は、いまの組織づくりにも通じる。
チームが困難に直面したとき、理念を守る人が一人でもいれば、組織は倒れない。
逆に、理念が形骸化した瞬間に、どんなに立派な仕組みも冷えていく。
理想の組織とは、理念を持つことではなく、寒さの中で理念を保てる構造を持つことだ。
それが、晩成社から現代の私たちが学べる一番の教訓だと思う。

